サワンナケートから (vol_06)

腰かけ

三日目の朝、工場に着くと、庭に大きなビニールシートを広げて、昨日ラハナム村で買ってきた綿花がいっぱいに干してあり、朝日を受けて輝いています。織り工房になる予定の部屋では、中央に置いたテーブルの上の綿花を一つ一つ丁寧に掃除をしています。棉の実の殻や、十分にはじけていない実などを指でつまんでは除いて、それから天日に干すのです。
ソンカンに、これはデイー(良い)、これはボディー(良くない)、と教えてもらいながら、私も工場の女の子と一緒になって手伝いました。
午後、備品を買いにタラート(市場)へ。
・バケツ10リットル入り、5個:青色のプラスティック製。
・七輪、大2個、小1個:素焼きのずん胴に再利用のブリキを巻いた物。風の取り付け口が無いので、風向きを見極めて、七輪を回して使います。
・大鍋3個:一見りっぱなピカピカのアルミ製。実は0.5mm程の厚さで触れば手が切れそう。
・柄杓:プラスティック製も出回っていますが、私の希望でココナツ製にしました。
・敷物:わらではなく、籐で編んだ物が良いと言ったら、パクセー(もっと南の方)が産地なので、ブントンさんの親戚 で、パクセーに居る人に頼む、と言う事でした。二、三日後に6枚の敷物が届き、これは涼しくて、綿埃が編み目に潜り込む事も無くて快適です。
・腰かけ:ずっと欲しいと思っていた、高さ15cm,直径30cm程の、竹と籐で出来た腰かけは、軽くて涼しくて座り心地が良い。その後、七輪に火を起こす時、木綿糸を砧で打つ時、竿に掛けた糸を眺めながら配色を考える時、等ずっと愛用しています。

工場に戻ると、水道を所定の場所に引いてありました。洗い場を深い下水溝のそばに作ったので、ここで、英語の通訳をしている青年に下水が何処へ流されて行くのか、聞いてみました。彼は溝の向こう、工場の敷地の下に下水を貯める所があって、そこから川へ行くのだと答え、さらに、行政に従っているから心配はない、と付け加えました。
町中の通りに面した家々の前にある溝は、乾季だというのによどんだ汚水であふれており、ボウフラもわいています。その溝に、食用の水性植物が生えていたり、アヒルや子供達も遊んでいるのです。心配するな、と言う方が無理でしょう?

 

綿打ち

天日に干した綿花を、綿織り機の二本のローラーの間にはさんで回すと、種は手前に転がり、綿だけがぺちゃんこになって、向こう側にぽろぽろと落ちています。ローラーがギシギシと鳴ると、ソンカンが、ココナツの脂を塗って調整します。綿繰り機の向こう側に段ボール箱を置いて、ローラーの下から箱の中に布を垂らすように提案すると、綿がうまく箱に溜まるようになりました。両手で掬える程の綿が貯まると、ソンカンは弓打ちを始めます。床の上にぺちゃんこの綿を山に盛って、そのてっぺんで籐の弦をピシピシと指ではじくと、一つ一つの綿がほぐれていきます。どんどんはじいていくと、次第に綿が集まって、弦に吸われる様に、その周りを雲になって回り始め、手品のような綿打ちが終わります。


一回分の綿打ちが終わると、次はしの巻きです。ひと摘みの雲を、まな板状の木片の上に薄く広げ、菜著程度の棒を中心にして、手前から向こうへくるくると巻いて、棒を抜くのですが、この巻き方が、強からず弱からず、ふんわりしっかり巻けていなければなりません。細いキリタンポ状になった綿の両端を揃えてまとめ、両手の平で輪を描いた位の量になると、海苔巻きの様に布で巻いて、リボンを掛けます。これで紡ぎの準備が整いました。
リボンを掛けるところまでソンカンが一通りやって見せると、それを追い掛けるように、次々と助っ人が現れ、人が増えて作業が流れていきます。
現在、縫製工場の方へ指導に来ているオランダ人は、いつも工員達の仕事が粗雑だと嘆いています。例えば、ファスナー付けは布が縮れているとか、襟芯の張り方がつっぱっているとか、伝達のシステムがなっていないとか。
またラオスの人は働く意欲が無いという噂も随分耳にしましたが、今の私にはこのような話を全く信じることは出来ません。彼達の日常から遊離しない仕事、あるいは、いつもやっている慣れた仕事は、とても手際良く、楽しげに、しかも熱心にやってのけるのです。

Follow me!

コメントを残す